『伊豆の踊子』を読む
分析と推論の間
立川 明 著
最近の新しい研究方法や関心傾向の台頭によって、伝統文化の一部としての川端康成『伊豆の踊子』の価値は、今や大きく低下する危機に直面している如くである。さらに、新しい高等学校の国語教育において、『伊豆の踊子』が一部をなす日本の近代文学一般も、その役割が危惧されている。
本書では、そうした窮状からまずは『伊豆の踊子』を救い出すべく、その教材としてのポテンシャルを、筆者なりの理解力の限度まで解明するつもりである。『伊豆の踊子』の解釈に、分析と総合という方法をおおらかに、しかし注意深く用い、かつパスカルやルソー、ダーウィンの識見を援用しつつ、この作品の価値がどういう所になお認められるのか、できるだけ筋の通った解釈を提示してみたい。
文学的な関心を備えた方々が、この作品の置かれた状況に対する、より信頼のおける「哲学的」な応答を展開するための切っ掛けを提供できれば幸いである。
「はじめに」より
A5判 244頁 ISBN978-4-7610-0944-1 2021年11月刊行
定価3,300円(本体3,000円+税)
人間発達の生態学
発達心理学への挑戦
U.ブロンフェンブレンナー 著 磯貝芳郎・福富護 訳
人間を取りまく多様な環境を、マイクロ、メゾ(個々の環境間の関係)、エクソ(父親の職場等)、マクロという各システムを入れ子構造とするひとつの生態系としてとらえた,アメリカ心理学会の「最も頻繁に引用される文献賞」を受賞した名著の訳出。
A5判上製 356頁 ISBN978-4-7610-0564-1 1996年2月刊行
定価6,600円(本体6,000円+税)
現象学看護
記述現象学を学ぶ
体験の意味を解明する質的研究方法論
村田久行 編著
対人援助の臨床に体験の解明は重要である。
援助とは苦しみを和らげ、軽くし、なくすることである。がん患者のスピリチュアルペインも、痛み、せん妄等もすべて本人には苦しみの体験であり、その援助もまた体験である。さらに福祉の現場で対応に追われる差別や貧困、疎外、虐待も当事者本人には深い苦しみの体験となっているにちがいない。これら援助の現場でみられるさまざまな患者・家族、援助者の苦しみと援助こそ解明されるべき体験である。
現在、体験の意味を解明する質的研究方法論には現象学的方法があるが、ジオルジ流の直観看取にしろ、ハイデガーに依拠する解釈学的現象学にしろ、その理論は難解であり、研究は録音・逐語録をデータとするゆえに研究素材と機会が限定され、臨床現場の生きた事象は対象とされない方法論の狭さがある。また、分析手順の煩雑さ、意味や構造を抽出する際の分析者のブラックボックス的な主観的名人芸の不透明ゆえに分析の妥当性を検証できない。このような理由から従来の現象学的方法論は「わかりにくい」「使えない」といわれる。
そこでわれわれは、対人援助の現場で頻繁に現れる患者・家族、援助スタッフのさまざまな体験の意味を解明することを目的として、臨床現場で使える「記述現象学」の「わかる」「使える」研究方法を開発した。
B5判 320頁 ISBN978-4-7610-0919-9 2017年6月刊行
定価4,400円(本体4,000円+税)
日々の生活に役立つ心理学
大木桃代・小林孝雄・田積 徹 編著
本書は科学的な理論に基づいた心理学の知識をできるだけわかりやすく記すと同時に、日常生活での応用事例を豊富に掲載し、理論と応用を融合させた心理学のテキストです。
4部構成となっており、第Ⅰ部「心のしくみを理解する心理学」と第Ⅱ部「心の成り立ちと広がりを理解する心理学」で、心理学の基本的な理論を紹介しています。さらに応用領域として、第Ⅲ部「医療・福祉の現場で役に立つ心理学」と第IV部「ビジネスの現場で役に立つ心理学」で、心理学が毎日の生活の中で、どのように応用され、使われているかを紹介しています。
本書から心理学の理論を学習するのはもちろんのこと、日常生活への応用を思い巡らせて、心理学を身近に感じてくれることを期待しています。
A5判 284頁 ISBN978-4-7610-0897-0 2014年3月刊行
定価3,080円(本体2,800円+税)
「社会教育学研究 第57巻(2021/6)」に
教育学特別講義
の書評が掲載されました
『伊豆の踊子』を読む
分析と推論の間
立川 明 著
最近の新しい研究方法や関心傾向の台頭によって、伝統文化の一部としての川端康成『伊豆の踊子』の価値は、今や大きく低下する危機に直面している如くである。さらに、新しい高等学校の国語教育において、『伊豆の踊子』が一部をなす日本の近代文学一般も、その役割が危惧されている。
本書では、そうした窮状からまずは『伊豆の踊子』を救い出すべく、その教材としてのポテンシャルを、筆者なりの理解力の限度まで解明するつもりである。『伊豆の踊子』の解釈に、分析と総合という方法をおおらかに、しかし注意深く用い、かつパスカルやルソー、ダーウィンの識見を援用しつつ、この作品の価値がどういう所になお認められるのか、できるだけ筋の通った解釈を提示してみたい。
文学的な関心を備えた方々が、この作品の置かれた状況に対する、より信頼のおける「哲学的」な応答を展開するための切っ掛けを提供できれば幸いである。
「はじめに」より
A5判 244頁 ISBN978-4-7610-0944-1 2021年11月刊行
定価3,300円(本体3,000円+税)
人間発達の生態学
発達心理学への挑戦
U.ブロンフェンブレンナー 著 磯貝芳郎・福富護 訳
人間を取りまく多様な環境を、マイクロ、メゾ(個々の環境間の関係)、エクソ(父親の職場等)、マクロという各システムを入れ子構造とするひとつの生態系としてとらえた,アメリカ心理学会の「最も頻繁に引用される文献賞」を受賞した名著の訳出。
A5判上製 356頁 ISBN978-4-7610-0564-1 1996年2月刊行
定価6,600円(本体6,000円+税)
現象学看護
記述現象学を学ぶ
体験の意味を解明する質的研究方法論
村田久行 編著
対人援助の臨床に体験の解明は重要である。
援助とは苦しみを和らげ、軽くし、なくすることである。がん患者のスピリチュアルペインも、痛み、せん妄等もすべて本人には苦しみの体験であり、その援助もまた体験である。さらに福祉の現場で対応に追われる差別や貧困、疎外、虐待も当事者本人には深い苦しみの体験となっているにちがいない。これら援助の現場でみられるさまざまな患者・家族、援助者の苦しみと援助こそ解明されるべき体験である。
現在、体験の意味を解明する質的研究方法論には現象学的方法があるが、ジオルジ流の直観看取にしろ、ハイデガーに依拠する解釈学的現象学にしろ、その理論は難解であり、研究は録音・逐語録をデータとするゆえに研究素材と機会が限定され、臨床現場の生きた事象は対象とされない方法論の狭さがある。また、分析手順の煩雑さ、意味や構造を抽出する際の分析者のブラックボックス的な主観的名人芸の不透明ゆえに分析の妥当性を検証できない。このような理由から従来の現象学的方法論は「わかりにくい」「使えない」といわれる。
そこでわれわれは、対人援助の現場で頻繁に現れる患者・家族、援助スタッフのさまざまな体験の意味を解明することを目的として、臨床現場で使える「記述現象学」の「わかる」「使える」研究方法を開発した。
B5判 320頁 ISBN978-4-7610-0919-9 2017年6月刊行
定価4,400円(本体4,000円+税)
日々の生活に役立つ心理学
大木桃代・小林孝雄・田積 徹 編著
本書は科学的な理論に基づいた心理学の知識をできるだけわかりやすく記すと同時に、日常生活での応用事例を豊富に掲載し、理論と応用を融合させた心理学のテキストです。
4部構成となっており、第Ⅰ部「心のしくみを理解する心理学」と第Ⅱ部「心の成り立ちと広がりを理解する心理学」で、心理学の基本的な理論を紹介しています。さらに応用領域として、第Ⅲ部「医療・福祉の現場で役に立つ心理学」と第IV部「ビジネスの現場で役に立つ心理学」で、心理学が毎日の生活の中で、どのように応用され、使われているかを紹介しています。
本書から心理学の理論を学習するのはもちろんのこと、日常生活への応用を思い巡らせて、心理学を身近に感じてくれることを期待しています。
A5判 284頁 ISBN978-4-7610-0897-0 2014年3月刊行
定価3,080円(本体2,800円+税)
「社会教育学研究 第57巻(2021/6)」に
教育学特別講義
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